天台宗の東睿山千妙寺に伝わる寺宝の一つです。 日吉山王曼荼羅図(ひえさんのうまんだらず)は、天台宗の総本山比叡山延暦寺の守護神である日吉大社すなわち山王社の諸神や本地仏(ほんじぶつ)が描かれており、大きく分けて三つの系統があります。一つ目は、日吉社の景観を中心に描く「宮曼荼羅図」、二つ目は、各社殿の本地仏を描く「本地仏曼荼羅図」、三つ目は、各社殿の垂迹神(すいじゃくしん)を描く「垂迹神曼荼羅図」です。千妙寺の作品は、上七社(かみななしゃ)の本地仏【※1】七体を中心に描く、本地仏曼荼羅図に分類されます。 【※1】 上七社の本地仏・・・大宮=釈迦如来、二宮=薬師如来、聖真子=阿弥陀如来、八王子=千手観音菩薩、 客人=十一面観音菩薩、十禅師=地蔵菩薩、三宮=普賢菩薩 本作品では、上七社の七本地仏を上部に描き、下部は二段に区切り、上段は中七社のうち五社の本地仏【※2】、下段には京都で天台宗を守護すると考えられた三社(赤山明神、祇園社、北野天神)の垂迹神が描かれています。そして、最上部に帳(とばり)、最下部には勾欄(こうらん)をめぐらした前廊と階を表すことにより、諸仏・諸神が社殿内に安置されるように描かれています。前廊には、獅子と狛犬が左右に安置され、山王社の使いである神猿も描かれています。 【※2】 五社の本地仏・・・右から、早尾=不動明王、下八王子=虚空蔵菩薩、聖女=如意輪観音菩薩、 王子宮=文殊菩薩、大行事=毘沙門天 作られた年代は、鎌倉時代末頃と推定され、東国に伝来する貴重な作品です。
※赤外線撮影による画像 |
絹本著色日吉山王本地仏曼荼羅図(けんぽんちゃくしょくひえさんのうほんじぶつまんだらず)
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- 【ID】P-330
- 【更新日】2010年1月21日
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