施無畏山延命院(せむいざんえんめいいん)観音寺の本尊。鎌倉時代の作で、別名延命観音ともいわれています。 木造寄木造で、本躰(ほんたい)、光背(こうはい)、台座ともに桧材です。頭部は高髻(こうけい)を結い、天冠台をつけ、地髪筋目彫(じはつすじめぼり)、彫眼(ちょうがん)、三道(さんどう)を刻み、条帛(じょうはく)、天衣を懸け、腰布をまとっています。 六臂(ろっぴ)はいずれも屈臂(くっぴ)し、左真手は腹前で掌を内に握り五鈷鈴(ごこれい)、左第一手は左上やや前方で鉾(ほこ)、左第二手は左下で弓を執ります。右真手は胸前で手の甲を内に五鈷杵(ごこしょ)、右第一手は右上やや前方で未開蓮、右第二手は右下で箭(せん)を執ります。腰をわずかに左に捻り、左足をやや前に出して立ちます。 光背は輪光、台座は蓮華四重座。 胎内背部に、貞治2年(1363)修理の墨書銘があり、享保元年(1716)修理の木札があります。 大正11年(1922)4月13日国宝に指定され、昭和25年(1950)8月重要文化財に指定。 昭和37年(1962)、平成26年(2014)、京都国宝美術修理所(現:公益財団法人 美術院)において修理されました。
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